-
A
認められていません。
在籍型出向では、雇用契約が出向元・出向先の2つ存在することになり、フルタイムの従事が求められる特定技能制度の趣旨にそぐわないことになります。
ただし、2024年9月17日に、日本経済団体連合会より、「2024 年度規制改革要望」にて
航空分野・鉄道分野については在籍型出向を認めるべきである旨の要望案が発表されています。
目次のサンプル
特定技能の運用要領にも、複数の企業が同一の特定技能外国人を雇用できない(=在籍型出向は認めていない)旨が記載されています。
移籍型出向の場合であれば、雇用契約は1つのみとなるため、出向も可能と考えられます。
~略
○ 本制度における「フルタイム」とは、原則、労働日数が週5日以上かつ年間217日以上であって、かつ、週労働時間が30時間以上であることをいいます。
○ 特定技能外国人はフルタイムで業務に従事することが求められることから、複数の企業が同一の特定技能外国人を雇用することはできません。
~略
<引用元:特定技能 運用要領> p.43
—————————-
航空分野も、鉄道分野も在籍型出向をすべきである、という点は共通していますが、
その理由が少し異なります。
・航空分野:業務効率化に向けて在籍型出向を活用して、短期間で教育や経験を積むため
・鉄道分野:親・子会社が一体となって鉄道を運行していることから、子会社等への在籍型出向を活用して体系的知識や実践的な教育を積むため
詳細は下記をご参照ください。
空港グランドハンドリング業界では、拡大する航空需要に対応するためにさらなる業務効率化を図る必要があり、教育研修を通じたスムーズな習熟を図る手段の一つとして、在籍型出向(従業員の籍を出向元に置いたまま、出向先の業務を行う仕組み)を活用している。客室清掃や手荷物搬送、コンテナへの積み込み業務等のスキルを身につけるためには、安全の確保や特殊な技能が必要であり、在籍型での出向の受け入れによって短期間で教育や経験を積むことが最も効果的な状況である。実際に、日本人の場合の在籍型出向期間の目安は、客室業務で3ヶ月程度、手荷物業務で最長4ヶ月程度となっている。
一方で、特定技能外国人の雇用形態は直接雇用に限られており、在籍型出向が認められていない。したがって、出向を通じたスムーズな教育研修や新たなスキル習得による迅速な受託体制の構築が困難となっている。
そこで、在留資格「特定技能」の航空分野において、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の趣旨を踏まえつつ、例えば、以下の要件を課すことで、委託先企業、委託元企業双方向への在籍型出向を認めるべきである。
<引用元:2024 年度規制改革要望 No. 33. 在留資格「特定技能」の航空分野における在籍型出向の認可> 経団連資料より
鉄道は保線・信号通信・電力・車両メンテナンス等の様々な業務区分の技術が統合された大きなシステムにより成り立っている。そのため、従事するにあたっては、全ての分野に共通する安全や各業務区分の基礎技術等の教育を行っている。この手段の一つとして、在籍型出向(従業員の籍を出向元に置いたまま、出向先の業務を行う仕組み)を活用することで、より深い知識・技術の習得が可能となる。鉄道会社の場合、業務区分の一部を子会社等に委託し、親・子・孫会社が一体となって鉄道を運行していることから、それぞれの会社に一定期間所属することにより、当該業務区分に関する体系的な知識や機器の仕組みはもちろんのこと、より実践的な教育を行うことができる。
実際に、技能実習制度では在籍型出向が認められていることから、鉄道分野においても、出向先と出向元企業で連携し、効率的な技術や知識の習得を行っている。一方で、特定技能制度は直接雇用に限られており、日本人や技能実習生等で認められている在籍型出向による教育・訓練を行うことができず、特定技能外国人のキャリア形成に支障をきたす懸念がある。
そこで、以下のような場合には、在留資格「特定技能」の鉄道分野においても在籍型出向を認めるべきである。
<引用元:2024 年度規制改革要望 No. 34. 在留資格「特定技能」の鉄道分野における在籍型出向の認可> 経団連資料より
Q 特定技能では在籍型出向は認められていますか?
同じカテゴリの人気Q&A
-
令和6年3月29日の閣議決定で、特定技能の産業分野の追加・業務区分の変更などが決定されましたが、「技能実習」から「特定技能」へ変更する場合の職種や作業、業務区分について、具体的にどのように変わりましたか?
-
特定技能で新たに「繊維業」が追加されることになりました。「繊維業」特有の追加要件に、勤怠管理の電子化があげられていますが、電子化は必須でしょうか?
-
「自動車運送業」分野で特定技能外国人を雇おうと考えているのですが、荷待ち・積み込み等の時間が6hほどで、運転している時間は2hほどしかありません。運転時間が短くても「自動車運送業」として就業させることは可能でしょうか?
-
どのような場合に退去強制の対象者になりますか?
-
特定技能外国人の委託を受けずに給料から天引きして社内預金をした場合、強制貯金(労働基準法第18条第1項)として労働法令違反になるかと思いますが、受入に影響はありますか?
-
外国人がトラックドライバーとして働くには免許が必要かと思いますが、外国の運転免許でも運転可能ですか?
-
外国人雇用において、「くるみん」等のその他の認証制度を受けていることによる優遇はありますか?
-
特定技能の「自動車運送業」分野では、安全性優良事業所を有する者であること、又は運転者職場環境良好度認証制度に基づく認証を受けた者であることが受入要件の1つですが、運転者職場環境良好度認証制度とは何ですか?
-
「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」分野で特定技能2号になるには、技能検定1級の試験に合格することが求められますが、技能検定3級と1級では試験内容はどのように異なりますか?
-
特定技能の「自動車運送業」分野において、タクシー運送業又はバス運送業者は、特定技能1号の在留資格で受け入れる予定の外国人に対し、新任運転者研修を実施することが受入れ要件の1つですが、新任運転者研修の内容はどのようなものですか?
- 01 鉄道運転士には免許が必要かと思いますが、試験内容はどのようなものですか?
- 02 「特定技能1号」で在留できる期間は通算5年以内とされていますが、海外にいる間も期間に含まれますか?
- 03 外国人がトラックドライバーとして働くには免許が必要かと思いますが、外国の運転免許でも運転可能ですか?
- 04 外国人労働者を雇用した場合に特別に必要な届出はありますか?
- 05 外国に家族がおり、日本から仕送りをしています。令和5年1月より、年間38万円以上支払っていないと所得税の扶養控除が受けられないと聞きましたが、本当ですか?
Q&Aランキング
- 01 今年の5月にインドネシアに帰国し、12月に再度来日予定の「技術・人文知識・国際業務」の方がいます。7か月帰国しているため、在留資格に基づく活動を3か月以上行っていないとして、取消の対象になりませんか?
- 02 在留資格が取り消される場合、取消対象となる外国人に何か通知は来ますか?
- 03 「特定技能1号」や、「特定活動46号(本邦大学卒業者)」などで要求される日本語能力試験ですが、JLPTやBJTの他に、どのようなものがありますか?
- 04 在留資格「技能実習」において資格外活動許可が認められることはありますか?
- 05 労働組合からの脱退を強要させるなどの不当労働行為には、何か罰則はありますか?