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2024年11月25日

Q 在留資格「技能実習」において資格外活動許可が認められることはありますか?

A

あります。
 

原則として、「技能実習」では資格外活動許可は認められません。
ただし、転籍を認め得る「やむを得ない事情」がある場合に、一定の条件下で資格外活動許可が認められることがあります。





目次のサンプル


 

●転籍を認め得る「やむを得ない事情」
 

令和6年11月1日に技能実習制度 運用要領が改正され、入国後講習の講義において
 
・転籍を認め得る「やむを得ない事情」の具体例
・技能実習生本人から転籍の申出があった場合の対応
 
などの知識を含める必要があることが明記されました。
 
「やむを得ない事情」は下記7つのパターンに分けて記載されています。
 

なお、以下の例に該当する場合であっても、
専ら技能実習生の責めに帰すべき事情による実習先の変更(転籍)認められません。
 

ⅰ 実習実施者から雇用関係を打ち切られたと認められる場合等
ⅱ 実習実施者と技能実習生の間で雇用契約を合意解除したと認められる場合
ⅲ 実習実施者が重大悪質な法令違反行為を行ったと認められる場合
ⅳ 実習実施者が暴行、暴言、各種ハラスメント等の人権侵害行為を行ったと認められる場合
ⅴ 実習実施者が重大悪質な契約違反行為を行ったと認められる場合
ⅵ 技能実習生が雇用契約締結時に雇用契約書及び雇用条件書等を交付されていない、又は雇用条件や待遇について技能実習生の母国語で説明を受けていない場合
ⅶ 上記以外で技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護の観点から技能実習を継続することが相当でない事情が認められる場合
 

 

 

【転籍を認め得るやむを得ない事情】 具体例
ⅰ 実習実施者から雇用関係を打ち切られたと認められる場合等 典型的には、実習先の経営上・事業上の都合(倒産、廃業、事業縮小など)を理由とした整理解雇(雇い止め)が当たりますが、解雇の理由はこれに限られません。解雇が法的に無効な場合にも、形式的に解雇を通知されていることをもって、やむを得ない事情に該当します。なおそのような場合には、実習実施者が正当な理由なく一方的に実習を打ち切ったとして、別途実習認定の取消事由に該当する可能性があります(第4章第8節参照)。
 
また、実際に解雇まで至らずとも、経済的事情による事業規模の縮小等(事業転換・再編を含む。)に伴い、技能実習の継続が困難になった場合も該当します。
 
ⅱ 実習実施者と技能実習生の間で雇用契約を合意解除したと認められる場合 典型的には、実習実施者の役職員と当該技能実習生の間でトラブルが発生するなどして信頼関係の修復が困難となり、互いの合意の上で雇用契約を解除する場合が当たります。
 
実習実施者が技能実習生に対して、退職に合意する旨の書面へのサインを強要した場合など、合意解除が無効(取り消し得る)と認められる場合にも、形式的に解除の意思が合致していることをもって、やむを得ない事情に該当します。なおそのような場合には、実習実施者が正当な理由なく一方的に実習を打ち切ったとして、別途実習認定の取消事由に該当する可能性があります(第4章第8節参照)
 
ⅲ 実習実施者が重大悪質な法令違反行為を行ったと認められる場合 実習実施者は技能実習生を受け入れる上で各種の労働関係法令、出入国関係法令等を遵守していただく必要があることは言うまでもありませんが、重大悪質な法令違反行為があった場合、実習認定が取り消される(第4章第8節参照)前であっても、やむを得ない事情に該当します。
 
典型的には、実習実施者が下記のアないしキの行為を行い、その態様が重大悪質な場合が当たりますが、これらに限られるものではなく、違反の重大悪質性特に技能実習生にとっての不利益の程度に鑑みて、やむを得ない事情か否かが判断されます。例えば、単独では重大悪質とは認められない法令違反行為であっても、法令違反行為を繰り返す場合には、やむを得ない事情に該当すると認められる可能性があります。
 
また、転籍を申し出た技能実習生本人に対する行為ではなく、同僚に対する行為である場合でも、やむを得ない事情に該当すると認められる場合があります。
 
【iiiの詳細】
 
ア 実習認定を受けた技能実習計画と実習に齟齬がある場合
 
 
 
 

イ 技能実習生に対する賃金不払いが生じた場合
 
 
 
 
 
 
ウ 二重契約を結んだ場合
 
 
 
 
 

エ 欠格事由(技能実習法第 10 条)に該当する場合
 
 
 
 

オ 技能実習法令違反を犯した場合
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

カ 出入国関係法令違反を犯した場合
 
 
キ 労働基準関係法令違反を犯した場合
 

 
 
技能実習生に認定計画で定められた職種・作業と異なる作業に従事させていた場合や、他者で実習を行わせた場合、実習時間数が認定計画と異なる場合等が該当します。
 
          
技能実習生に対する賃金不払い(※)の態様が重大悪質な場合には、ⅴの是正申入れを待たずして、転籍が認められます。
※ 賃金の不払いには、使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合における休業手当の不払いも含まれます。
 
技能実習計画と反する内容の取決めとして、一定の時間外労働時間数を超過した場合に最低賃金未満の賃金額で支払うとす取決めや時間外労働に対して出来高払制で賃金を支払うとする取決め等を結んだ場合が該当します。
 
例えば、実習実施者に対し、労働安全衛生法の違反で罰金が確定し、欠格事由に該当することとなった場合には、計画認定が取り消される前であっても、転籍が認められます。
 
例えば
・ 技能実習法第9条第9号(規則第 14条第3号)に対する違反技能実習生に監理費を負担させた場合が該当します。
・ 技能実習法第 46 条ないし第 48 条等
に対する違反
在留カードや旅券等の保管、外出の不当な制限や恋愛及び妊娠の禁止、技能実習生等との違約金の定めや損害賠償額の予定(例えば、技能実習を途中で止めた場合に違約金を支払う契約の締結)、貯蓄の強制、私物(スマートフォンや通帳等)の不当な管理等が該当します。
 
例えば、実習実施者が不法就労助長行為に及んだ場合等が該当します。
 
例えば、実習実施者が違法な時間外労働等を行わせた場合、妊産婦に危険有害業務を行わせた場合、高所での作業において墜落による危険を防止するための労働安全衛生法上必要な措置が講じられていない場合等が該当します。
 
ⅳ 実習実施者が暴行、暴言、各種ハラスメント等の人権侵害行為を行ったと認められる場合 例えば、以下の行為が該当します。
 
・胸ぐらを掴む、ヘルメットの上から手や工具で叩く、工具を投げつける、火傷をさせる等の暴行
 
・「国に帰れ」や「もう国に帰ってよい」と帰国を迫る、「バカ」、「使えない」、「死ね」などと名誉を毀損・侮辱する、「○○人は出来が悪い」等、民族や国籍を理由に差別的な言動をする、母国語を話したら罰金を取ると注意する、土下座や丸刈りを強要する、根拠なく賠償を請求する等の暴言やパワーハラスメント
 
・技能実習生に抱きつく、無理矢理キスを迫る、必要なく身体に触る、しつこくホテルへ誘う等のセクシュアルハラスメント
 
・妊娠をしていることを理由に解雇をほのめかす等のマタニティハラスメント
 
ⅴ 実習実施者が重大悪質な契約違反行為を行ったと認められる場合 具体的には、雇用契約等の条件又は待遇と実態に、社会通念上、技能実習を継続し難いと認められる相違があり、技能実習生が実習実施者に是正を申し入れたが、是正されない場合をいいます。
 
雇用契約の条件又は待遇と実態の相違は、典型的には、(ⅲとも一部重複しますが)雇用条件書や重要事項説明書に記載された雇用条件に反して、賃金(※)の不払いや正当な理由なく年次有給休暇を取得させない行為、食費等の過剰徴収を行うこと等が該当します。
「雇用契約等」には、雇用契約と密接に関連する契約も含まれます。例えば、技能実習生は通常実習実施者や監理団体が用意した宿泊施設に居住しているところ、この宿泊施設の賃貸借契約は、雇用契約と密接に関連しており、また、宿泊施設の条件は、技能実習生の待遇の一部を構成していると言えます。
 
そのため、実際に居住することとなった宿泊施設が実習実施者や監理団体が技能実習生に説明した宿泊施設の条件に反している場合には「雇用契約の条件又は待遇と実態の相違」があると言えます。
 
さらに、技能実習生本人の予期せぬ形で、勤務地や宿泊施設の変更等により、本人負担額が増加したり、生活環境の変化が生じたりした場合にも、「雇用契約等の条件又は待遇と実態」に相違があると認められる場合があります。
 
ⅵ 技能実習生が雇用契約締結時に雇用契約書及び雇用条件書等を交付されていない、又は雇用条件や待遇について技能実習生の母国語で説明を受けていない場合
 
実習実施者は労働基準法上、雇用契約締結の際に技能実習生に対して労働条件を明示する義務があり、技能実習法上も、実習実施者、監理団体等は技能実習生に対して雇用条件書等を提示した上で、技能実習生の母国語で雇用条件を説明することが必要です(第4章第2節第 10 参照)。
 
この点は技能実習計画認定申請時に確認することとしていますが、万一、これらの義務に違反していたことが事後的に発覚した場合には、やむを得ない事情があると認められます。
 
ⅶ 上記以外で技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護の観点から技能実習を継続することが相当でない事情が認められる場合 例えば、実習開始後に、実習実施場所で取り扱う食品等に対するアレルギーや疾病を発症し、実習継続が困難になった場合や日常生活に支障をきたすようになった場合等が該当します。
 

 
<参考資料:「技能実習制度運用要領」の一部改正について> p.2~7(外国人技能実習機構HPより)
 
 

●「やむを得ない事情」がある場合の救済措置(資格外活動許可が認められる場合)
 


 
上記やむを得ない事情により、就労が継続できなくなった場合、
「技能実習」を継続するか、「特定技能1号」へ変更を希望するかの2パターンで特例措置が設けられています。
 
・特定活動が付与される場合
・資格外活動許可が与えられる場合(本記事のQ部分)
 
があります。
 

カテゴリ 対象者 在留資格 必要書類
「技能実習」を希望する場合 自己の責めに帰すべき事由なく在留期間の満了日までに外国人技能実習機構から技能実習計画の認定を受けることができない技能実習生であって、技能実習を行う実習実施者が決まっている場合
 
「特定活動(就労可・4月)」
 
・在留資格変更許可申請書
・説明書
・誓約書
・実習実施者との雇用契約に関する書面(雇用契約書及び雇用条件書の写し等)
自己の責めに帰すべき事由なく在留期間の満了日までに外国人技能実習機構から技能実習計画の認定を受けることができない技能実習生であって、技能実習を行う実習実施者が決まっていない場合
 
「特定活動(週28時間以内の就労可・4月)」
 
・在留資格変更許可申請書
・説明書
・誓約書
・新たな実習実施者の確保に努めていることを証する資料
・滞在費支弁方法を説明した資料等
自己の責めに帰すべき事由なく転籍の手続を行っている技能実習生であって、技能実習の在留期間が残っている場合
 
資格外活動許可(週28時間以内の就労可) ※最大4ヶ月
 
・資格外活動許可申請書
・説明書
・誓約書
・新たな実習実施者の確保に努めていることを証する資料
・滞在費支弁方法を説明した資料等
「特定技能1号」へ移行する場合 「技能実習」の在留資格をもって在留する方で、やむを得ない事情により技能実習の継続が困難となり、かつ、右の(1)又は(2)のいずれかに当てはまる方 「特定活動(就労可・1年)」 1.在留資格変更許可申請書 
2.写真 
3.パスポート及び在留カード 提示
4.受入れ機関が作成した説明書
5.雇用契約書及び雇用条件書等の写し
6.賃金の支払に関する書面
 
【場合により必要】
※(1)監理団体が実習先変更にかかる必要な措置を講じたにもかかわらず、技能実習の継続が困難となってから3か月を経過してもなお新たな実習先が確保されていない場合
 
7.実習先変更に係る必要な措置の実施状況に関する説明書
 
※(2)上記(1)の措置を受けることができなかったことについて特段の事情があり、外国人技能実習機構が実習先変更支援を実施したにもかかわらず、3か月を経過してもなお新たな実習先が確保されていない場合
8.監理団体による転籍の支援を受けることができなかったことに係る説明書
 

 
 
<参考資料:やむを得ない事情により活動継続が困難な場合の特例措置について> 入管庁HPより
<参考資料:転籍手続中の技能実習生に対する在留管理制度上の措置について> 入管庁HPより

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