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2023年11月24日

Q 技能実習の監理団体を設立しようと考えていますが、理事(予定)の者がネット乞食をしていることが判明しました。ネット乞食の事実は監理団体許可の欠格事由に該当しますでしょうか?

A

欠格事由には該当しません。ネット乞食は軽犯罪法違反になり得ますが、軽犯罪法では「拘留又は科料」の刑しか規定されておらず、「禁錮又は罰金」の刑に当たらないため、技能実習法の欠格事由に該当しないことになります。ただし、詐欺罪などで禁錮以上の刑に処せられた場合には、欠格事由に該当しますので、お気を付けください。

<根拠法令:軽犯罪法> 第1条
 
 第一条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
 一 ~ 二十一 略
 二十二 こじきをし、又はこじきをさせた者
 
 ●こじき:
 不特定の他人の同情に訴えて、自分や扶養する家族の生活のため、無償またはほとんど無償に近い対価を提供して、必要な金銭や品物を求める行為で反復継続されるもの
 
 例:
 「生活に困っています。皆さんからの投げ銭をお待ちしております。」などの言葉を使いながらネット配信をする行為
 
 —————
 <根拠法令:技能実習法> 第26条、第10条
 
 (許可の欠格事由)
 第二十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、第二十三条第一項の許可を受けることができない。
 一 第十条第二号、第四号又は第十三号に該当する者
 二 ~ 四 略
 五 役員のうちに次のいずれかに該当する者があるもの
  イ 第十条第一号、第三号、第五号、第六号、第十号又は第十一号に該当する者
  ロ 第一号(第十条第十三号に係る部分を除く。)又は前号に該当する者
  ハ 第三十七条第一項の規定により監理許可を取り消された場合(同項第二号の規定により監理許可を取り消された場合については、第一号(第十条第十三号に係る部分を除く。)に該当する者となったことによる場合に限る。)において、当該取消しの処分を受ける原因となった事項が発生した当時現に当該処分を受けた者の役員であった者で、当該取消しの日から起算して五年を経過しないもの
  ニ 第三号に規定する期間内に第三十四条第一項の規定による監理事業の廃止の届出をした場合において、同号の通知の日前六十日以内に当該届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。)の役員であった者で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの
 六 暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそれのある者
 
 ↓
 
 (認定の欠格事由)
 第十条 次の各号のいずれかに該当する者は、第八条第一項の認定を受けることができない。
 一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
 二 この法律の規定その他出入国若しくは労働に関する法律の規定(第四号に規定する規定を除く。)であって政令で定めるもの又はこれらの規定に基づく命令の規定により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
 三 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第五十条(第二号に係る部分に限る。)及び第五十二条の規定を除く。)により、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
 四 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第二百八条、第二百十三条の二若しくは第二百十四条第一項、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第百五十六条、第百五十九条若しくは第百六十条第一項、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号)第五十一条前段若しくは第五十四条第一項(同法第五十一条前段の規定に係る部分に限る。)、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第百二条、第百三条の二若しくは第百四条第一項(同法第百二条又は第百三条の二の規定に係る部分に限る。)、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)第四十六条前段若しくは第四十八条第一項(同法第四十六条前段の規定に係る部分に限る。)又は雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第八十三条若しくは第八十六条(同法第八十三条の規定に係る部分に限る。)の規定により、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しない者
 五 ~ 十三 略
 
 —————
 このように、ネット乞食として軽犯罪法違反に該当したとしても、
 拘留又は科料に該当するのみで、禁錮又は罰金に該当せず、技能実習法第26条の欠格事由に該当しないことになります。
 
 とはいえ、「監理事業を適正に遂行することができる能力を有すること」(技能実習法第25条第1項第8号)などは許可基準として定められており、
 許可基準に影響する可能性がありますので、ネット乞食はしないようにいたしましょう。
 
 ちなみに、懲役や罰金、禁錮などの刑の重さについては、刑法に下記のように定められています。
 ●死刑>懲役>禁錮>罰金>拘留>科料
 身体拘束のある拘留よりも、罰金の方が重たいとされているのが意外な点です。
 
 —————
 <根拠法令:刑法>第9条、第10条
 
 (刑の種類)
 第九条 死刑、懲役、禁錮、罰金、拘留及び科料を主刑とし、没収を付加刑とする。
 (刑の軽重)
 第十条 主刑の軽重は、前条に規定する順序による。ただし、無期の禁錮と有期の懲役とでは禁錮を重い刑とし、有期の禁錮の長期が有期の懲役の長期の二倍を超えるときも、禁錮を重い刑とする。

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